夏の日の夢/e.mei
 
あら、やだ」と呟いては指にはめて、また落とす、の、繰り返しを、続けている先生は、機械みたいにつめたい、……)


 その、視線の先は、というと、いつものように蜘蛛がたくさんふっているだけの空、なのですが、先生は指輪をはめるとまた気の抜けた顔で、その雨のカタチをみていました。
 指輪にしても、オルガンにしても、それはずっと、空があたしたちを許してくれるまで、何日も、何日も、でした。





 山の下から水が、
 あたしたちのほうへと流れてきてくれた日がありました。
 オルガンを待ちはじめてから何日目の夜だったでしょう。
 あたしが外へ出ると月が優しく抱きしめてくれました
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