夏の日の夢/e.mei
した。
(外では、たくさんの蜘蛛の死体が山の下まで繋がっていて、
先生があたしに目隠しをした。
月の光がとおくなって、にぎっていた糸がおともなく、
ちぎれちゃった。……)
出来る事トカ、
出来ない事トカ、
埋もれた記憶トカ、
なにかを、
あたし、
約束していたはず。
(あたし、
新しい世界を視たかった。
みんなが口を閉ざしてしまった世界に拘るのをやめて、
新しい世界を視たかった。
あたし、
永いあいだ遠くで響いている音ばかり聴いていた。)
なのに、
黒い腕をかじる。
甘くない腕を、……
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