夏の日の夢/e.mei
 
 ――いかないで、


(みんなは忘れているかもしれないけど、あたしたちの秘密基地、あそこにはまだひとつボールがあるの。土の中に埋めた目のないボール。くるくる動く、解体される基地の下に、風に流されて落ちてきたあのボールだよ!――約束したよね!)


 あたしの隣に住んでいた女子学生は甘いものが好きでした。
 市の図書館で隠れてチョコレイトをもらった事があります。
 それはみんなと約束した日の何日か前の事でした。
 その帰り道にバスは山へとのぼり、
 あたしはおねいちゃんが、「山には行っちゃだめ
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