静かな人へ、/e.mei
水は何処にゆくのだろう?
色のない水に泳ぐ魚は孤独だという。
渡された孤独を僕は少しだけ舐めたあと、
七日降り続いた雨が忘れられる頃にまた、
不機嫌な少女の顔を見上げ、
僕は結ばれた星と星とを永遠と呼んでやった。
(この永遠の姿、……)
昨日沈んでしまった太陽を誰も知らない。
遠くのやさしい少女のまぼろしをみて、
星の海へと飛んでいってしまったあの魚を、
消えていった波を追いかけていた太陽のことも、
すべて、
忘れてしまっていた――
秋の終りに降った雨は、
少女の身体を震えさせ、
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