静かな人へ、/
e.mei
魚はまた何処か遠くへ流れていった。
どうか、
春になるまでには救われないものかと、
僕は、
光を求めている。
僕は、
ひとり、
冬の夢から逃れることもかなわずに、
ただ深く、
少女の眠りすらわからぬ彼は海底よりじっと少女を見つめ、
それが二度目の眠りだということも、
何も知らないまま、
ただひとつ、
失った孤独を探そうと、
死んでいく魚たちのたましいを、
追いかけ続けている。
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