静かな人へ、/e.mei
 
あたらしいせかいのひかりなのだ。
 そこは彼のいないせかい、
            それでもよかった?……」

 夜明け前、
     光は飛ぶものだから空が怒るのですと、
                 彼女は橋の上で光を裂きはじめる。
 落ちてゆく光の音を橋は避け、
              だれもかわりにはならない。
              だれもかわれるはずもない。
             (――どうして、 
                   なんて、
                     わかっているくせに――)


 指で星と星とを繋げ
[次のページ]
戻る   Point(15)