ムササビとマタタビ/木屋 亞万
 
れにしても人間はどうして浮気をするのだろう。もともと浮気をする動物なのだとしたら、それは責められる行動ではないのだろうが、浮気しない個体もいる以上、人間にとってそれは罰を受けるべき行為なのかもしれない」
「俺がムササビだったら毎晩怠ることなく彼女の精子栓を引き抜いて、新しいものを流し込んでいただろうか。たぶん違うだろう。俺がムササビでも他の男が俺の精子栓を抜いて、新しい栓に注ぎかえるなんてことが起きるのだろう。そして、何も知らないままに俺はそれを抜いてしまうのだ」
「もし俺や彼女が猫みたいにマタタビを嗅ぐだけで性的快感を得ることができていたら、浮気などしようとは考えなかっただろうか。それとも猫
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