輪廻/コノハナ
 
やれば、紛れも無いみずの感触。
それは希望とも切望とも知らされない。
解らず零れ落ちる不言の涙。

交錯する時間の果て

引き写される輪廻の夢

遥かな世を越えた祈りの邂逅


「あなたはとてもお優しいのですね」

少女の手が少年の頬に触れる。
それは風に撫でられるかのように実態を伴わない不思議なぬくもり。

「わたくしに名をください」

繰り返される言葉は虚ろから届く哀歌。

「あなたのお好きな名をわたくしに」

少年は少女の手を振り払うかのように首を振るう。

「君には、従うべき主がいる……。僕はそのしもべで、君を探していたんだ」

またみず
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