輪廻/コノハナ
 
みずがこぼれた。

「いいえ、わたくしを探していたのはあなたではないのですか?」

「違う…」

りん

と、少年を見据える少女のめ。

胸が痛哭に軋み、あふれるみず。

「……例え、そうだとしても、僕には」

「わたくしはあなたとともに在りたい」

少女は繰り返す。

「わたくしに名をください」

追走曲のように、また。

「わたくしに名をください」


繰り返されることのはに、少年のめからとめどなくみずがこぼれおちる。

少女はそのみずを柔らかな唇で拭い、やさしくやさしく微笑み少年を抱き締め、耳元で囁く。


「わたくしに名をください。あなたのお好きな名をわたくしに」


少年は小さくいう。

「  」

その呪縛のことのはに少女はうれしげに微笑み、少年に頬を寄せる。

境界線を越えたあい。


この世ではあなたと結ばれたいのです。

願いはただそれだけなのです。

あいしております。


至純の想いを胸に少女は少年に口づける。

繰り返される悲劇に目をつむりながら。


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