輪廻/コノハナ
うな声に微笑みを浮かべ紡ぐ。
「わたくしの名は、あなたがお決めください」
それは本当に綺麗だ。
「あなたのお好きな名をわたくしに」
ゆらゆらと陽炎が夢うつつ、
「……僕には出来ない」
うらはらに確かとなる痛切。
耐え切れず、少年は己が足先に目を落とす。
「なぜ?」
少女は少年の言葉に微笑を消し、いっぱいの悲しみを揺らがせる。
「君の…っ」
視界の端に捉えてしまったその顔に、少年は言葉を詰まらせる。
「……君の主となる者は、僕ではないから」
「いいえ、なぜあなたは泣いておられるのですか?」
「え――」
頬に手をやれ
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