水位の上昇/e.mei
わたしにはわたしが見えて、わたしはわたしに会いたかったのに母はわたしに会わせてはくれないどころかわたしには狐がとり憑いたのだと言います
わたしはわたしに会いたいだけなのに、です
わたしが向こうに行くとわたしの足もつられて歩きだします こんにちは 今日は雨です あのわたしが傘をささないからわたしも傘はささない
これは何の罰ゲームだろう
涙が頬を伝って流れ落ちてきた あのわたしが泣いているのだろう わたしもつらいよ わたしもだよ
泣きながらわたしはビルのなかに入ったのでわたしも泣きながらビルに入る
おとこのからだ
わたしは泣きながらおとこの頬を撫でていた 悲しいね 悲しいんだね
[次のページ]
戻る 編 削 Point(19)