俺の中にはもう誰も居ない -ZOMBIE-/ホロウ・シカエルボク
が溢れてくるから
廃棄物のように俺は沈黙していた
ただ時間だけが他人のように淡々と流れていた
春のうららかに阿呆のようにくたばり
夏の熱風に焼け焦げてくたばり
秋のメランコリックに精神を病んでくたばり
冬の寒さに芯まで凍えてくたばった
俺の中にはもう誰も居ない、俺は湾曲したプログラムのひとつの記号に過ぎない
俺の中にはもう誰も居ない、その中の真意をお前のそばで曝すわけにはいかない
俺は幾千の死の記憶によって出来た開かずの踏切の陽炎なのさ
日常的なチアノーゼを抱えて過ごしているうち
新鮮な空気に異物感を感じるようになってしまった
よく晴れた空、爽やかな
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