顎なし鱒夫と俺物語/e.mei
 
――愛しき君よ! 俺は君に似た女を探す。あれは鳥類、あれは魚類、あれはもう……! タイコ、ああ!――タイコ! 愛しき君よ、薔薇を舐めネオンをたどり波平の満足する店を探す。「まだかね、鱒夫君」「すみません義父さん(黙れ! この野郎!)」アスファルトを登り、天国へと続く道だと信じて――って、ああ! 誰もいなくなっていく。いくつもの魔法が俺たちを誘い出す。その手にはのらない。タイコ、タイコ。タイコ!
「鱒夫君、高望みをしてもきりがないので此処にしよう」「そうですね、義父さん(俺は婿養子!)」月を前に、女の草原に眠る。今日もまた魚類。嫁の名はボンバイエ。永遠は南方に行って、死の街道をたどる。波平は汚らし
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