まごころを君に、/e.mei
わたしは消えてしまった光をのみこんでおちてゆくので
海へとかえってしまう
小さな夢が微笑みながらわたしのほうに歩いてきて
わたしは夢の続きへとはいっていかなくてはならない
(教室で先生が小さな猫を撫でているのは夕暮れのせいだ
夜になるのがこわいので走らなければならないわたしは
走らなければならないのに
校舎のとおくから音がする
生きていたひとたちがそっと並び待っているおと
おと おと おと
窓の外が白くなって今はふゆなんだと確認したからといって
どこからが雪でどこまでがわたしなのかはわからない
さむい さむいよ)
(耳の奥で猫の声がする
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