ようすいの丘/e.mei
月の出る時間になっても空は曇っていて星は一つもみえない
あなたの声で夜が明けると
ようすいの丘の上には新しい世界がひろがり
かなたでは霞んだ水平線から薄い煙を立てながら近付いてくる船をみせる
繭から不規則に放たれる白光
海さえも白く 陽か月か私にはすでに判断のつかなくなった円光は鷲のように天へと上り
たちまち消えてしまいました
硝子に生命の火が宿る わたしは柔らかな乳房に憧れる
神聖なものが処女の血のなかで生き続けるなら 私は神聖でなくてもかまわない
生まれる前から知っていた空の飛び方
世界は美しい
残り火の薄ら明かりではなく 荒れ果てた街が遂げた
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