ようすいの丘/e.mei
た
閑寂と頽廃の先
あなたは 星や雲ばかりに 目を奪われていました
靄に隠れていようと 死骸が落ちてこようと あなたはその先にあるものから目を離さない
降り続ける雨が世界を歪めてもあなたには別のものへと移る予兆がありませんでした
朧気な山々を裂いて聳える朱の塔 深々とおおいかぶさる雷鳴の背中を撫で 儚さは蘇る
黒雲であろうと繭であろうと 或いは残りなく晴れ渡った晴天であっても
光がとめどなく洩れているのは祝福と同時に怒りなのです それは空間の歪み
清らかな日に人々は身を委ねます 忘却を齎す言葉の代わり
指に絡ませた枝を比類ない奇蹟と
呼んでもいい
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