旅立ち、と未熟が吹かしたがる/ホロウ・シカエルボク
 
と知ったことなどなかった、だから鬱血のような空の下でも足を速めることすら思いつかない
降ればいい、濡れればいい、それがなんの問題でもなかったみたいに滴らせながら歩いてみればいい、そんな有様が抱え続けてきた断層に違いないのだ
破れ傘をかざしたみたいに見上げながら、そう、待っているのか、待っていないのか、何を、誰を、どんな成り立ちを
あるのではないかという浅はかな感触、居たのかどうか判らないやつの墓への地図を根掘り葉掘り漁るような細切れの日々が続いて
舞台化粧の仕方を忘れた道化師のような悲喜劇を確かに知っている自分に気づく、演じるとはどんな種類の本質にも決して近づけないということなのだ
[次のページ]
戻る   Point(1)