独白日記 〜今日の直筆ノートより〜/服部 剛
が、30年以上共に暮らした人がいないという事を、今も不思議に感じている。祖母の部屋に置かれた遺影の、穏やかに微笑む顔を見る時、生身の人間として生きた祖母の魂は、火葬場で焼かれた煙と共に(聖なる世界)へ吸い込まれて逝ったような気がしている。
半年前に、祖母が地上から姿を消したように、この地上にいる全てのかけがえのない人々はいつか、一人、また一人・・・と消えてゆき、夜空に一つ、また一つ・・・と瞬く星になってゆくのであろう。行き着く所、人間にとって最後に残るものは、想い出なのかもしれないと思う時、僕は祈る。願わくば、今日という日に、良き想い出を・・・と。
僕の胸の内に広がる夜空には今も
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