どうして、また/ホロウ・シカエルボク
き出そうとは考えていないみたいだった、かすかな明かりの中を俺は歩きだした、あの時と同じ道を…靴の修繕の店の位置を探した、何も変わっていないみたいに見えた、そこからエスカレーターを探した、振り返ると、あのぞっとするような男が立っているような気がした、エスカレーターは多少形を変えたように見えた、河のほとりで寝返りを打ちながら死んだワニのようにうねりが生じていた、俺は手すりにしがみつくようにそこを昇った、あの時と同じなら、あの時と同じなら―
二階に女の姿はなかった、俺はなぜか引き返そうという気にならなかった、そのまま非常階段を探して、三階に昇った…
三階に女は居た、だけどそれはあの時の女
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