どうして、また/ホロウ・シカエルボク
 
―どぶ鼠が何か叫んでいたけれど、それ以上気にしても仕方がない、きっとあいつらはテープレコーダーみたいにたったひとつのフレーズを繰り返しているだけだから―充填された燃料が途切れるまで、哀れに…初めから誰かにそのことを伝えようと考えていたみたいに、哀れに

人気のない巨大な交差点を街の終りの方角に向けて渡ったら、巨大なデパートの抜け殻があった、二〇年前に閉鎖されて、そのままの廃墟…一〇代のころに一度、そこに忍び込んだことがあった、その頃は機械警備なんてなかった、あのころよりもはるかに黒ずんだコンクリートの壁面を見つめながら、どこかの雑誌で読んだ、この建物の中に住み着いた死霊のことに思いを巡らす、
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