君の優しい声が鼓膜に響く/きりえしふみ
 
らぬ演説家の 行き場無き舌、檄

窮屈に 所狭しと お前ハート 何色もの感慨は
サヨウナラ の そのキスに 質素にも飾られた
ひっそり、と 静寂に結わえられた小箱の中で
押し合いへし合い 歪に のたうちながら
突破口を探していた

 朝日が夜から 生まれ落ちる
 穴から土竜が顔を出す 双葉から朝露が流れ落ちる
 その必然で

諦めよう、と 思って いたんだ
ハイヒールが似合う足に 幼子の靴をあてがう ような
デタラメな狂気で
僕は未来(おまえ)を諦めよう、と

ああ けれども
 窓から闇は 去らずにはいられない でしょう
冬は “此処”から 飛び立たずにはいら
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