君の優しい声が鼓膜に響く/きりえしふみ
 
いられないでしょう
別れ(かなしみ)の白い群れ は 葬列 は
朝の挨拶に 塗り替えられるもの なのでしょう……なのですよ
幾らかの時期を 悪夢を その代価にして

 ほら もう夕べは 通り抜けようとしている
 味わうのも既にまっぴらな 僕の喉元を 胸元を
 今は全く違った 新しいニュアンス が
 揺れている
 イヤリングとお揃いのモチーフ、ぶら下げて

 君は僕に口づける キス、するんだ

最初の朝を二人で迎える為に
創られて間もない扉……未来を胸一杯に迎える為に
僕は君を 影は光 水面は空
対になるもの、を 呼び立てた
描き出した

 『おはよう』

と 最初の朝 洗い立ての朝を
この胸一杯に 掻き抱く為に

(次のページに) 優しい君のキスが 今降り注がん、と

(c)shifumi kirye 2009/06/28

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