遠い夢?デッサン/前田ふむふむ
口から零れ出すと、眼のまえの青
い装飾ライトが、脈を打ちだし、少しずつ、あがっていく。
やがて、右足が慣れる頃、眩暈が全身をしばると、狭い、一
人しか通れない階段を、暗い大勢の影が、少しずつ、昇って
いる。なぜか懐かしい顔ばかりだ。その最後に、灰色のスー
ツの影が、わたしの横を、すれ違った。鋭い矢のようだが、
息が聞えなかった。あれは、父さんだろうか。
もう、どのくらい階段を降りたのだろう。
段々と、氷の冷たさが、全身を覆っていて、足は感触がなく
なってくる。用心深く、足を、降ろしていくが、いつになっ
ても降りつづけている。わたしは、いったい、どこに行きた
いのだ。度々、何処
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