僕の左手/チャオ
 
から。

目に付いた本の題名がアランシリトーの「長距離走者の孤独」。僕は長距離走者だったから、とりあえず、題名で泣いた。古本屋さんの片隅で。

とりあえず、この二つの短編集と、この二人の作家が、僕を大きく変えたことは間違いない。なぜならば、この二人のプロフィールが、僕の今までの作者像を大きく変えたのだから。

サリンジャーは高校のとき、「俺は小説家で大物になる!」と断言していたらしい。
アランシリトーは、戦争に行って負傷した20歳前後のころの病室ではじめて本を読んだらしい。

だから、僕も、高校で始めて本を手にし、大声で「俺は大物になる!」といってた。

それから三年。僕は物
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