空は人のかたちに似ていく/石田 圭太
 
幸な夢は
すべて幸福に繋がっていた
けれど
これが不幸なのか幸福なのか
判断がつかない



+まなざし

風船が
天国を夢見て昇っていく
やがて点になって
それから先のことは
何も知らないままだった



+旅をする図形

コンクリートの丸い模様や
横断歩道の白くない部分が
まだ踏んではいけなかった頃
しあわせは
何度でもやり直しが出来た



+街が埋まる

恋をするという事が
街をその人で埋め尽くす事だとは
知らなかった
つらい時には名前を呼ぶのが
癖になっていた
ここにも
あそこにも居た
今ではもう居ない



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