扉と掌を隔てる被膜/uwyeda
 
。だろうかったら。

「あるいは私は君の差し出した答えに納得しよう。どんなに非現実的であったとしても。」

私はここへ帰ってきた。海は海、心の帰る場所に私は立ってはいない。門番に告げた。
「私は私である。私は何者であるか。私は私が何者であるかを知らない!私は知らざる者だ。私とは自我である。私は私の自我が生まれた時のことを知らない。この自我がどこからきてどこへ行くのか、私には知りようもない。私は知らざる者だ。知らざる者にこの門を開け放ち給え。己を知る者よ。」

「その問いに答えよう。あるいは永遠に口を閉ざそう。それを私の答えと成そう。」

「知らざる者よ。お前は今自分が知ら
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