扉と掌を隔てる被膜/uwyeda
 
知らざる者であると知った。お前は己を知る者である。お前は己を知る者という門の前に立った。この先にお前の知らない者がいる。彼の者はお前である。お前の答えを受け取ろう。私は己を知る者の、門の彼方にいる者である。私の自我が生まれた時を、私の自我は知っている。この門の先にいる者が、お前にそれを教えるだろう。」

「感謝する。私はこれで知ることが出来るのだから。貴方が何者であるのかを」

後には真理が落ちている。それを手にする者は少ない。それが何者なのかを知る者はいない。ただ考える者がいるだけだ。なぜ夜が明けるのか、なぜ朝が来るのか、なぜ月が沈むのか、なぜ朝日が昇るのか、私はそれを許しはしないのにだ。
後にはただ真理が落ちている。それを知る者に私は出会いたいのだ。それが私だったとしても。まだ夜は遠い。

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