扉と掌を隔てる被膜/uwyeda
 
まえ知らざる者よ。お前がこの門の先へ進むには、己が何者であるかを知らねばならぬ。自分は自分でありそれ以上でもそれ以下でもないなどといった、形だけの同語反復などでは私が誤魔化されないということはわかるだろう。今は立ち去りたまえ知らざる者よ。私はここで知る者が来るのを待っている。」

「あざとい!あざといぞ人類諸君!お前達のやり方にはもううんざりだ!」

夕暮れの街には荘厳な鐘の音がよく似合っている。私は一体何者だ?私を構築している成分の内で、私を代表していると言えるものは何だ?もし言葉を持たない者に自分が何者であるかを伝えなければならないとしたら、何をもってそれを示せばいい?私は一体何者
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