0か、○か/木屋 亞万
 
り僕の器が割れていくことは避けられない

0が満ちも欠けもしないほどに何かを失っていたとしても、
僕が0よりも何かを持っているようには思えないんだ
そもそも僕は0でない人間を見たことがないや

リセットボタンを何度押したところで、増えも減りもしない
君がいくら7に近づいたと思っていたとしても
それは6に限りなく近い0なんだ
悪いのは紛らわしい鉛粒の跡、ろくでもない君の0さ

あの日、宇宙を目指して浮遊していた僕の、
鉛筆を握り締めていた僕の、小さな宇宙船に穴を開けたのは
先生の先端、大きな赤いペンの先端、で
僕の小さな船を穴だらけにしてしまったんだ

心から吸い出さ
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