血飛沫(稚拙に書きつけられた譜面のような肉体の中の豪雨)/ホロウ・シカエルボク
 
があった、肉を弾くみたいな音、身体の上で弾けていた音、音、音、音、音…肉体が弾きだす水の詩だった、肉体が弾きだす水の詩を聴きながら、俺、俺、雨垂れがどんなところへ身を隠すのか見届けようとしていたんだ、それがどんなところへ流れてゆくのか、それは死なのか、あるいは変容し続けるひとつの生なのか、そしてそれは例えば一部始終眼にしたところで俺に理解することが出来る種類の事柄なのか…見ていた、見ていた、見ていた、見ていた、雲が粒になり、無数の粒になり、降り注ぎ、弾けて、流れてゆくそのさまを、動きだ、動きだ、途方もない動きがそこにはあった、そして俺は、それに新しい名前をつけることは出来なかった、それは雨だった、
[次のページ]
戻る   Point(2)