モンキーズが好きだった/竜門勇気
この良いところ
あいつは店でかかってたレコードの話をしてる
有り難がる様なもんじゃないだろ
ロスクルドスがそんなに珍しいか?
”太陽ギラギラ ビルの谷間”
は、と思って見渡した
誰も皆死にそうな面をしている
ドアの向こう
おれの背中で無音が鳴る そしてモンキーズの
恋の終列車が聞こえた
おれは歩き出したくなった
あいつは サイダーを飲んでいる
泡立つ線が頬で霞んでいった
滅多にないことには違いない
こんな真昼間は滅多にない
おれもやけに喉が渇いていた
ドクターペッパーを買い損ねたのはモンキーズのせいだ
考えがじわり汗になって
おれはおもう ドクターペッパーに
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