運命が歩く道で、群青の海に呑まれて/蓮沼 栞
運命が歩く道。
出会った女達を考えると、運命は不可抗力のカテゴリの中にいるのかなと思う。
幼い時に経験した、タンスの上に置かれた母の宝物箱の様に、手が届きそうで届かない、そんなものなのかなと、そう漠然と思っていた。
俺と愛莉は夜道を歩いていた。
赤レンガを過ぎ、右手に愛莉の着てるワンピースと同じ、深く呑み込まれそうな紺色の海が広がった道を、肩が時折触れる距離で寄り添い歩んでいた。
夏の夜は心地良く、
二人だけの時間が流れ。
愛莉が少し疲れたと言うから、ふと目にとまった白いベンチ。
塗りたてかな、
座ってみろよとか、
少しベンチで遊んだ後、愛莉は自
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)