地蔵菩薩/within
 

 と眼鏡をかけたいつもスロットを打っている青年が駐輪場で声を掛けてきた。
「ええ、まあ、そんなところ」
 僕は自然に笑みがこぼれた。
「最近はこの店もよくない噂ばっかりだよ」
と青年は浮かない顔で言い、僕は
「へえ」
 とだけ答え、そんなもの関係ない、と開店待ちの客の列に並んだ。今日は絶対勝てる、そんな自信に満ち溢れていた。
 しかし、その自信も昼飯前には打ち砕かれていた。店内に充満する玉やメダルの流れる音、無数の効果音の重なりに飲み込まれた。何故だ? 思考停止した頭を垂れながら店を後にした。うまくいっていた頃と今の惨状の繋がりをうまく説明できず、気がつくと再び寺へやってきてい
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