地蔵菩薩/within
きらめる、そう心に誓い寺へ赴いた。朝の涼しげなキビタキのさえずりを聞きながら山門をくぐった。境内に上がると僧がいつものように箒で掃いていた。よし、と拳を握り締めた。僧はこちらに向くと軽く会釈をした。つられて僕も頭を下げた。
「一週間ぶり、ですかね? 」
と僧は近付いてきた。
「よく来られるので信心深い方だと思っていたんですよ」
と僧は柔らかな物腰で言った。僕は、はあ、と相槌だけ打った。
「今日もよい日和ですね」
と言い残し、僧は箒を持ち、庫裡へと消えた。参詣を済ませると心の浮き立ちを抑えることができず、氷川きよしを口ずさみながらアクセルを吹かした。
「おっ、休み明けかい? 」
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