地蔵菩薩/within
。僕は笑って缶コーヒーをおごって上げた。
その笑顔も薄暮の頃には消え失せていた。昼過ぎから全く当たりを引き当てることができず、ひたすら玉を飲ませるばかりで、いつしか財布の中の金を全て使い果たしていた。恐れていたこと起きてしまった。やはりあの僧に会えなかったからだ、と思えてならなかった。そう確信めいたものを感じた。しかし、ならばあの僧に会えた日だけ勝負すればいい、そう思い直した。しばらくギャンブル三昧の日々を返上しよう。まだ十分貯えがある。何も今、無理をすることはない。散財せずにいたことがせめてもの救いだった。
それから一週間ばかり休んだ。その間、寺にも参詣しなかった。僧がいなければそこであきら
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