地蔵菩薩/within
 
ってもだめや」
 と開店前に並んだ作業着姿の男が嘆息しながら言った。
「今日は出ますよ」
 と僕は強気に言ったが自信はなかった。少し怖くもあった。
店の扉が開くと、いつものようにゆっくりと店内を巡るつもりが少し慌ててしまった。大丈夫、と言い聞かせ、人気のない台を見つくろい、いつもは気にしない前日のデータなるものまで確かめたが、結局勘を頼りに座った。
金を投入し、玉を打ち出すと、いつになく緊張しているのが自分でも分かった。しかしそれは杞憂に終わった。打ち出して間もなく大当たりを引き当て、昼頃には今日の勝ちを確信した。
「なしてや? 」
 と帽子を被った初老の常連が呆れるように言った。僕
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