地蔵菩薩/within
 
屋で夕食をとりつつ酒を飲んだ。できあがって家に帰ると、同居人が
「よくお小遣いが続くわね」
 と言うのだが
「ちょっとした臨時収入があってね。そうだ君にも小遣いをあげよう」
 と一万円札を渡すと、同居人は訝りながらこちらを見、いいわよ、と突き返すので、僕は、まあ取っておいてくれよ、と下卑た笑みを浮かべつつむりやり握らせた。
 一ヶ月程経った頃、もしかするとあの寺に参りに行かずとも勝てるのではないのかという考えが去来し、ひとつ今日は参詣せずに真っ直ぐ店に向かうことにした。それでうまくいかなかったら、またその時は参りにいけばいい。ゆっくりと朝食をとってから店に向かい、いつものように周囲に気を
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