サイエンスフィクション・オールライト/竜門勇気
 
はそのまま真っ白になってしまった。
看板の向こうを歩いていたロケット乗りがよく着る艶の無いシャツを着た男が、その空白を境に両断されてようやく俺は異常に気づいた!ロケット乗りは看板の裏でペカペカ光るネオンに照らされ、のっぺりとした傷口から一滴の血もこぼさずに俺に言う
「ここいらで大きな顔をしてうろつきたいなら14番地のユーズドを尋ねな。いつも水星の南京虫をつまみにエールを飲んでるような奴だ。すぐに見つかる。」

看板の裏には奴のちぎれた足があるはずだ。あのおぞましい移民の足跡に触れねえように覗き込むとやはり血の気の無いロケット乗りの下半身がうにうに地べたに落ちた芋虫のように動いていやがった。
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