変声期/山中 烏流
しれない
きみがそれに気付いたのは
いつだったろうね
階段に重なる足跡は
わたしのものだけではない
それを知っているのは
きっと、わたしだけだ
*
きみの声に重なるように
授業なのだろうか
まばらでも、美しいと思えるほどの
そんな歌声が
校舎から響く
きみは、きっと気付かない
わたしの喉が
ほんのりと熱くなる
這い出たかのような声量で
小さく喉を鳴らしたとき
わたしの声は
いつかと同じものだった
それは、つまりきみと同じ、
*
いつか
描かされて描いた樹の下で
きみの
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