神の詩、片端に記された聖書、ただ落下しては流れてゆく雨の行先/ホロウ・シカエルボク
 
のような外界からの影、俺は見ていた、ただ何もせず、見ていた、黒い影を、小さく揺れていた、部屋が、あるいはこの俺が、呼吸のための動きとほとんど判別がつかないくらいの、かすかな振れ幅で、振動、俺は見ていたんだ、そのわずかな、そのわずかなぶれの中にある、殴り書きされた筆跡、呪詛のような言葉を、長く長く、長く長く、長く長く連ねた、いくつかの黒い塊、そんなものに意味を求めては駄目だ、そんなものに意味を求めてはきっと駄目なんだ、遠い夜に落としてきた幸せが内臓を壊したような泣声をあげている、聞かせないで、聞かせないで、そんな声を、咎めるように静かに、俺は正気の振りをして、リズム・トラックがうるさ過ぎる何とか言う
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