影と手のひら/木立 悟
 
 覚め
血を得て眠り
失い 滲み 
滲みつづける


左目の音
灰と白
黒と水と雨
しりぞかぬもの ためらわぬもの


明かりの消えたかたちをつかみ
霧の指がまたたいている
声は もういいのです
ほんとうに もういいのです


散らされた光が
ふたたびあつまりはじまりとなり
空を貫く木の歴となり
空に音をこぼしている


午後の鳥 夕べの鳥
夜の鳥のなかをはばたき
なおたどりつく水滴が
内戦と祭へ降りそそぐ


熱さをすぎ 痛みをすぎ
今は冷めたひとつの棘が
花の楽器に埋もれている
他の鉱脈へと ふるえつづける


青 ちぎれ
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