影と手のひら/
木立 悟
ぎれかけた鐘の音
壁の痕から湧く光
あふれてもあふれても
影を消せずに
曇があり 流れがある
倒れたままの標の空
肺に満ちるひとりの水から
髪と波紋へ至る道のり
花はらう声
鳥は動かない
来る光のなかの
さらに小さな光を見つめる
水が宙の側道をゆき
すべてをまだらに降らせている
影は透り 影は透り
手のひらに手のひらに手のひらに鳴る
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