Fish/ホロウ・シカエルボク
 
いことに俺はうんざりする。なにか伝えるべきことを持っているのに、伝達する手段がない。本当に無力と呼ばれるのはそういう類の事柄であるべきだ。俺は止めていた歩みを再び始める。君がそれとなくこちらを気遣いながら歩くにも限界があるのだ。君のさりげなさだけは壊したくないと思う、君が薄い氷の上を歩くみたいにさりげなくこちらを気遣って歩いてくれていることだけは、このまま俺が俺に戻ることが出来なくっても壊したくないと思う。ねえ俺、不安なんだ、すごくすごく。だけど、子供のころから怖いって叫べない子供だったんだよ。いつでも一人になるまで、泣くことも出来ない子供だったんだ。どうしてかなんて説明出来ない、だから今でもそん
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