Fish/ホロウ・シカエルボク
でいた。俺は傀儡みたいなものなんだ、と呟くと、枝の先を指先で転がしながらふふ、と短く笑った。俺は慰めてもらいたいわけではなかった、ただ、そんな感情がここにあるということを、認めてもらいたいと思っていただけなのだ。だけど、そんなささやかなすれ違いはいまに始まったことではないし、特別苛立たせるような何かがそこにあったわけではなかったから、俺は口をつぐんで笑い返した。それはまるで笑うという行為とはかけ離れたものに思えて、神経が二、三本断線しているのではないのかと勘繰らなければならなかった。低木は嫌いだ、いつでも予期せぬものを下から覗かれているような気がするから。見せるまい、と躍起になって睨みつけてしまう
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