雨季/芳賀梨花子
 
につく。

さよなら

 私は、ひとり、終バスが行き過ぎたターミナルをぐるぐるとまわる。かもめみたいな白いホットパンツ。はみ出したお肉にサドルが食い込む。酔っぱらいに「おねーちゃん」と声をかけられた。私はクソオヤジにはクソオヤジと言い捨てる。あんたの声を聞きたかったわけじゃないんだ。悪いね、クソオヤジ。そして、教会へ続く路地へ、ペダルを思いっきりこいだ。海まで500メートルぐらいのところに佇む闇があって、その闇に埋もれることない白いイエズス様が、私は好きだ。子供の頃、むかいの図書館に行くといっては、暗くなるまでイエズス様を眺めていた。でも、今夜は教会の庭に咲く露草を摘む。明日は雨がひどく降
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