縁結びのおみくじ/瀬田行生
それを横目に自然なしぐさの一つのように
私は境内の木に括りつけようとする
そこであなたの声で手を止めた
「いいのがでたら括りつけずにみんな持って帰るんだよね」
うん
「じゃあ持って帰る」
えっ
と思わず口にすると
とても不思議な顔をあなたはする
「大吉なんだよ」
って
そうだよね
って慌てて繕いながら少し私は迷う
さっきから思っていたのは
あなたのおみくじがもっと不幸な内容ならば
凶ならば
私といたら大吉になると
大きな嘘で包めたのに
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