縁結びのおみくじ/瀬田行生
って夢みたいな話
大事そうにしまうその赤点みたいな大吉を
見届けた後
私も独り言みたいに似たような言葉をこぼして
財布の中にそっと忍ばせる
そう
この大吉のおみくじは
あなたとお参りをして
二人で一緒にひいたおみくじ
それをあの雪みたいに真っ白く積もった
たくさんの「ひとかけら」にするなんて
やっぱりできない
いつまで持っていられるか知らないけど
結ぶために縦に折りたたんでいた
八割合格のおみくじを
財布にしまえるように横に折りたたみなおした
参拝客であふれる参道の片隅で
「りんごあめを買おう
ひめりんごのりんごあめなんて初めて見た」
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