夢さわぎ/恋月 ぴの
 
良く晴れた多摩川沿いに走る二車線の都道
歩行者用信号機は青へ変わっているに右見て左見て
みーちゃんの手を引きながら急いで渡る

轢けるもんなら轢いてみなよ…いつもならそんな気概なんだけど

草いきれのする石造りの階段を一気に上りきると
夏らしい風が川幅いっぱいに吹き抜け
湧きあがる真っ白な雲までが出番来たかと張りきっている

急な雑誌の取材を受けるとかで忙しそうにしている先生に
子守りなら任せてと安請け合いしてしまったんだよね
後悔先に立たずとは良く言ったもので
狭い土手上を走り抜ける自転車やらランナー達に圧倒されつつ
お花摘みたいとせがむ手を離してはならぬと苦心惨憺疲
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