夢さわぎ/恋月 ぴの
憺疲労困憊の在り様
それでもぽにょとか歌ってくれたり
習いたてのお遊戯の振りとかしてくれると
手のひらから未来への熱気のようなものがびしばしと伝わってくる
ほんとの親娘だったら伝わってくるものの意味合い
もっともっと深くて確かなものなんだよね
この歳になるまで何人かのひとと恋愛してきて
今も一緒に暮すひとがいるけど心から子供欲しいと思ってみたこと無かったし
これからも望んだりすることは無いものと割り切ってはいたのだけど
このトキメキって新鮮というか神聖なものにも思え
アラなんとかなんて後ろ指差される私まで若返ってしまう気がするよ
しろつめくさの群生する緩斜面にしゃがみこみ
うろ覚えながら編んでみた花の髪飾りが良く似合って
みーちゃんは不思議の国のお姫様となった
そろそろお母さんとこへ帰ろうか
みーちゃんは上目遣いにこくりと頷くと
愛情の深さを測る三つ編みがぴょこたんと跳ね上がり
夕暮れの気配する向う側に見てはならぬものを見てしまった気がした
戻る 編 削 Point(27)