lit/竜門勇気
 
なじの辺りに細かい氷の粒が踊る。

そこには俺が二人。

一人が床に伏せっている。一人はその側に立ち尽くしている。

俺たちは倒れている俺に歩き寄った。
最悪の事態だ。俺が一人死んでいる。
割れた頭から白っぽいミソをこぼしている。これじゃ助からない。
ガクガクと爪先はまだ震えて助けを求めている。俺は救命措置施をしたかったが、体が動かなかった。つまり俺たちは何もかも投げ出して逃げ出したい気持ちを抱えながら立ち尽くしていたわけだ。
俺たちは俺の周りに円となっていた。同じ顔、見分けのつかない七人。
唯一区別のつくのは「死んだ勇気」だ。
残った俺たちは顔を見合わせながら先の叫び声を
[次のページ]
戻る   Point(0)